ご挨拶

数々の病や怪我と太極拳との出会い

わたしは、幼少の頃から体が弱く、学校は休みがちでした。

そのため、勉強も苦手でした。

もちろん運動なんてとても…。

粘膜系が弱い、と医師には言われていました。

中学二年生のある時期に簡単な手術を受けてから、少しずつ丈夫にはなりましたが、やはり、疲れが溜まるとすぐに体調不良になりました。

それでも、野球部などに所属し、万年補欠ながら、自分なりに身体を動かして、健康を維持しようと努めていました。

肩や腰を痛めたりもしながらで、満身創痍。
健康とは程遠い状態でした。

父親からは、ジョギングを勧められていたので、部活を引退後は、ひたすら走りました。

若干丈夫になったような気がしましたが、それでも根本的な解決にはならなかったようです。

大学生から社会人になり、上京してからの一人暮らしによる偏った食生活もあり、20代後半に大病を患い、初めて3ヵ月ほど入院しました。

生まれながらの体質によるもので、自分のカラダが弱いのは当たり前で、欠勤するのは仕方がないことという思いはありました。
しかしながら、仕事をする年齢になって休むことはなかなかできません。
上司によっては、快く病欠を認めてくれません。
無理も祟ったのだろうと思います。


原因のわからないような、まるで悪霊にでも憑りつかれたような、体の不調は、どなたにも理解されることはありませんから、会社ではじっと耐えながら勤務しなければなりませんでした。

退院後は、いろいろなスポーツや健康法を試してみました。

ジムに入会して、様々なプログラムに出ては、汗を流しましたが、疲労ばかりが溜まり、カラダのスッキリ感を得られませんでした。

消耗しているだけのような感じ、と言いましょうか。

その他、テニス、空手、総合格闘技、ヨガ、水泳、スカッシュ、○○体操など、「健康にいい」と言われるものには、どんなことにもトライしました。

それでも、しっくりこない。

体に不自然な負荷がかかるような…。

友人もたくさん出来て、とても楽しいのですが、どこか本質的に求めているものと異なるような違和感もあり、「健康」と言えるかというと、そうではない感覚がありました。

もちろん、これらの健康法が、悪いわけでは決してありません。
体のどこに問題があるのか、改善の糸口をつかめず、そのアプローチの仕方が不適切だったのです。

食事療法も行っていましたので、内臓系はだいぶ改善してきているように思いましたので、骨格系などのその他の原因があるような気がしておりました。

父親に言われたことも思い出し、思い切って、施設やお稽古などには見切りをつけ、個人でジョギングやトレーニングを始めました。

楽しさは全くなくなってしまいましたが、自分ひとりとの向き合いの方が、体の不調がどこからくるのか、冷静に理解できる感覚があったので、少し何かがわかり始めました。

そんなある日、某スポーツ誌で、太極拳インストラクター養成講座の広告を見て、これだ!!、という気がしたのが、太極拳との出会いです。

どうして、そう感じたのか…

直感と言いましょうか。

ここから、わたしの太極拳人生が始まったと言えます。

それからは、夢中で太極拳を学び、心身共にモチベーションも高くなり、おかげさまで体は次第に改善に向かいました。
体の奥から元気になってきた感覚が、とても嬉しく、楽しい毎日になりました。

太極拳には、カラダへの要求が数多くあります。
「虚領頂勁」とか「含胸抜背」とか、四字熟語系の要訣がたくさんあります。
中国語も交じり、理解するのに一苦労でしたが、よくよく考えると、そのほとんどが「姿勢」に関するものです。

わたしの場合は、脊椎関係、特に頸椎に問題があり、そのため、様々な不調に見舞われていたようです。
脊椎の在り方を修正することで、それまでの不調から自然に解放されていったのです。

それと同時に、元の状態に戻らないようにするためには、何が必要かを日々考え、体調管理に留意しながら、そのノウハウを蓄積していきました。

体の不調から解放されると、体力も着き始め、太極拳そのものに、さらに打ち込むことができるようにもなり、動作に磨きをかけようと日々練習に打ち込みました。

深夜、近くの公園で一人で練習するのは、とても気持ちが良く、1日の仕事の疲れを解消してくれました。

数々の大会にも参加させていただき、賞やメダルもいただきました。

さらに、太極拳の源流と言われている地、中国河南省温県陳家溝に赴いて、直接中国人老師から教えを受けることができるようにもなり、今では、指導者としてスクールを運営するまでになりました。



太極拳の出会いによって、わたしの人生は大きく変わりました。

また様々な訓練を経て、「真の健康」とは何か、ということもようやくわかるようになりました。

もちろん、紆余曲折もございます…。

そして、指導者として、早20年余り。

日々、より良い指導者を目指しております。


スクールでは、わたしの経験してきた体の不具合や不調から回復するために生み出してきたノウハウとともに、レッスン構成を綿密に組み立てながら、丁寧な指導を心がけております。

これまでにも、様々な体の不調・不具合の問題を抱えた方々を少しでも和らげられるようアシストしてきております。

「病は気から」というのは、本当です。

「気」は「気持ち」や「情緒」ではありません。

「気の流れ」をコントロールできれば、病を遠ざけることはできます。

それとともに「運気」が上昇するような感覚を抱けるようにもなります。


ご存知のように、太極拳は武術の一派であり、
体の不調や不具合を改善する目的で存在しているわけではありません。


それは副次的な効能に過ぎませんから、カラダに不調をかかえている方だけが太極拳を学ぶというわけではありません。

太極拳を武術として日々鍛錬している方々も数多くいます。

とは言え、現代人のカラダの不調改善は急務です。

当スクールでは、まずは「ボディ・コンディショニング」、すなわちカラダの調整からお始めになれるよう、丁寧なレッスン構成になっております。

ゆるめてほぐし、伸ばして鍛え、その上で全身調整を行う、五段階「ボディ・コンディショニング」が当スクールのコンセプトになります。

カラダの調整をする作業には、ある程度の厳しさと根気も必要ですが、ご参加になっておられます皆様は、楽しくお通いになっていただいており、クラスはいつも笑顔と活気に満ち溢れています。

健康なカラダを身につけ、その上で太極拳の奥義を求めていける、夢のある学びの場をご提供できればと考えております。

一期一会、お会いできるのを楽しみにしております。

陳氏太極拳 単剣
陳家溝太極拳学校にて 王岩コーチと
陳家溝太極拳学校にて 李コーチと
陳家溝太極拳学校にて 陳自強老師と
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