「心と体の生涯学習」
太極拳スクール　TAO

太極拳の発祥には、少なからぬ伝説があり、諸説紛々と言えます。

一説には、武当山の道士、張三峯が夢で拳法を伝授されて編み出したという。

他説には、武当山の道士、張三豊が修行中に蛇とウサギの格闘を見て創り出したという。

近代になって、考証された説によると、清代の初め、河南省温県陳家溝の陳王廷が創り出した武術である、という。

いずれにせよ、太極拳は、民間拳法の粋をあつめた健康法であり攻防法です。

 

武術としては、実を避け、虚を攻めるという技法をとり、攻撃をかけてきた相手の力をかわし、小さな力で打ち勝つ戦術をとります。

強引な速攻型の拳法とは全く異なっており、柔を以って剛に克ち、静を以って動に当たり、ひねりを加えて対処するスタイルの拳法です。

 

健康法としては、中国古代の「吐納」や「導引」を取り入れた気功法で、気持ちを静め、身体をリラックスさせ、気を丹田に沈め、意念と気を巡らして動くことで、内臓の強化をはかります。

 

以前、太極拳は、動作が滔々と尽きるところを知らない長江（揚子江）の流れのようだとして「長拳」と呼ばれていました。別名「十三勢」とも言われています。八種類の手法と五種類の歩法から成り立った武術という意味です。

 

清代の武術家「王宗岳」は、この武術に「太極拳」という名称を与えました。

「太極」とは、中国古典哲学においては、宇宙の始まりを指し、変化の起こる状態を示しますが、この拳法に対しては、世上最高で、広大極まりなく、宇宙のごとく、変化に富んでいるという意味がこめられ、虚と実、静と動、柔と剛を結びつけ、それが絶えず転化することを意味しています。

 

以前の太極拳は、柔らかでよどみのない動きにひねりを加え、さらに激しい動作や跳躍、瞬時に力を出す発勁を伴っていました。

それが次第に都市部に広まるにつれ、おだやかで、むらなく、動作が連綿と続くスタイルに発展してゆき、現在では、年齢に関わらず学ぶことのできる健康法、美容法として受け継がれているのです。

 

太極拳には、一人で稽古ができる「単練套路」、二人で手合わせする「推手」、さらに剣、刀、槍、棒などの稽古があります。

 

また、太極拳には、さまざまな流派があります。

陳式太極拳、楊式太極拳、呉式太極拳、武式太極拳、孫式太極拳、和式太極拳、李式太極拳など、さまざまです。

 

初めて太極拳を学ぶ方々に人気の簡化二十四式太極拳は、1956年に健康法として太極拳を広く普及させようと、中国政府が当時の中国国家体育運動委員会が中心になって、まとめた普及版太極拳です。

さらに、「八十八式太極拳」「四十八式太極拳」「総合太極拳」などの制定拳套路が生み出され、今では表演競技としても人気があります。